住まいの天井・結露・雨漏りについて

《天井について》

建築において唯一無くとも問題のない部位である。建物には床壁屋根さえあれば住まう事が可能である。
縄文弥生の時代ではおそらくは天井と云う概念や言葉もなかったのではあるまいか。
天井と云う言葉は仏教と仏像の伝来により、キラキラしい仏像の頂部に埃等が落ち舞うことを塞ぐ為に出来たものか?または仏教伝来とともに取り入れられたものかも知れない。
元来庶民住宅には天井はなかったと思われる。
天井は無くとも雨露さえ防げれば良かった庶民には、所謂天井造作が普遍化されるのは高々百年に満たないと思われる。
元来天井を創ることは権威を表すものであり、また天井の「井」の意味は井桁に天井を造作する事が「井」。
字を“ジョウ”とは読めないが、畳を6帖、4.5帖と呼ぶようにおそらくは天井つまり格天井のサイズは1帖の半分の広さにて造られていると考える。
また、天井は天井絵を描くためにあるとも考えられる。―すべて私見である。

 

《結露について》

結露とは温度差又湿度状況において露点温度に達した場合に結露が発生する。
また、部屋毎及び温湿度により変化するものであり一定ではない。普段湿度〇〇%と呼称される単位は気温によりパーセンテージは変わる。
%の基準を表す為の呼称単位として絶対湿度なりの比率が通常呼ばれる湿度=相対湿度の事となる。
絶対湿度は気温により変化する。
例えば0℃の場合の湿気水分の最大量≒4.8g/㎥、また20℃の場合≒17.3g/㎥が最大量となり温度=気温による最大水分量のことを絶対湿度と呼ぶ。
つまり相対湿度とは20℃で60%の場合絶対湿度17.3g/㎥×0.6≒10.38g/㎥の状態の事である。
また露点温度=結露の発生温度は気温約10℃前後の温度差がある場合に発生する。
室内温湿度20℃・60%=10.38g/㎥、外気温10℃の場合絶対湿度9.4g/㎥-10.38-9.4=0.98gが結露する事となる。おおよそ9℃~程度の温度差の時点が露点温度となる。
つまり相対湿度が高いほど結露しやすくなる。

《結露の種類》

  • 表面結露
    ほとんどが冬の結露。冬の外気温が低く室温が高いため壁面した各部位に表面結露が生じる。特に窓ガラスが著しい。
  • 内部結露

    壁内部へ室内側の水蒸気が外部へ通過する途中で露点温度に達すると内部に結露が発生する。断熱材の適正な施工が求められる。

目に見えないだけに重大な被害に遭う場合が多い。特に蟻害の発生の恐れあり。以上は冬型の結露である。
夏型結露においても冬型結露と同様の現象で発生する。例としては氷水を入れたコップ外側等付着する状態である。
いずれにしても表面結露の場合は目に見え処理も可能あるが、壁全体に結露した場合建物寿命に影響するので留意が必要である。

結露を防ぐ方法

  1. 淀んだ空気を発生させない。例としてタンスなどの裏側や部屋の隅等にカビが発生しやすい。
  2. 各部屋の温度に差をつけない。冬場部屋の温度が高いほど表面結露が発生しやすい。
  3. 開放型のストーブを使用しない。燃焼時に水蒸気と二酸化炭素を大量に発生させ甚だしく結露が生じる。
  4. 熱交換型の換気扇により冬場の新鮮な空気を取り込むー理由略
  5. 適正な断熱材の使用と適正なる施工をする。壁体内に結露しない施工を。壁体内換気が必要。結露しにくい住まいとは適正な換気システムと断熱施工が重要である。温度斑(むら)を作らないこと。

 

《雨漏り》

住まいのトラブルの殆どが雨漏りに起因するとの事。データによると保険金支払いのトラブルの約85%が雨漏りに起因するとの事。
建物の大原則は雨風を凌ぐ事にある。昨今の雨漏りの原因は大きく分けて2種類であると考えられる。

  1. 軒出のない住まい「軒ゼロデザイナ-住宅」等
  2. 雨仕舞の基本を理解していない。

雨漏り部位について多発部位

  1. 壁と屋根の取合
  2. サッシ廻りの雨漏り防水テープの施工不良とシーリングの劣化などに起因する。雨水の滞留を防ぐ事。特にサッシ上枠部位等。
  3. 屋根の谷よりの雨漏り~「屋根屋とウグイスは谷で鳴く」との言い伝えあり。
    各なき設計は可能か?瓦葺の場合に多発しやすい。
  4. パラペットよりの雨漏りや、バルコニー等の笠木他。殆どが笠木天端よりの漏水の原因は脳天打ちによるものが多い。単純にシーリング処理の場合、屋根施工と同様の施工をするべし。
  5. 外壁材の目地よりの雨漏り サイディング貼シーリング継手の剝離及び劣化。定期的な打ち替えをする。また適正なる通気層の確保が求められる。

雨漏りし易いデザイン⑴の軒出のない屋根の設計を避けることが重要である。
多くの雨漏りの元凶は軒出なしの屋根デザインと施工不良によるケースがすべてと言って過言ではない。
但し昨今の都市住宅建築では土地面積の狭小化により軒ゼロ住宅がより求められるかもしれないが、雨漏り住宅を建築しないためには雨仕舞いの基本を理解し施工することが求められる。
軒ゼロ住宅の場合、横及び下部からも雨漏りが起こりやすくなる。屋根施工法、屋根材等の選定に配慮すべきである。
いずれも設計段階において考えなければ雨漏りは防ぐことは出来ない。

 

《軒ゼロ住宅の対処法》

軒ゼロ住宅と軒の出あり住宅の雨漏り比率は

28(軒アリ):72(軒無し) ※「JIOのデータによる」

軒ゼロ住宅の雨漏り件数は軒ありの約2.5倍以上の件数に上っている。
軒ゼロの判断基準軒出15cm以下(注:柱又は壁芯よりの寸法)ケラバ・片流れの出15cm以上、いずれも15cmを基準とする。
軒ゼロ住宅のトラブル発生確率は軒アリの≒5倍であり、また片流れ形状の屋根に頻発しているようだ。軒ゼロ住宅の場合、通期換気が重要となる。
いずれにしても多湿多雨の日本において雨仕舞い重視型の家造りを求められる。伝統的な軒出の住宅はすべての面で軒ゼロ住宅よりも長寿命である。
特に屋根と壁との取合いの雨仕舞いの場合、施工業者が異なる為、それぞれの立場にて施工するため施工仕様を明確にしなければトラブルとなり易く、十分に注意しなければならない。雨漏りにおける広い意味での加害者は設計者と施工者にあると言える。
設計施工する場合、建主に十分な説明が必要なのは言うまでもない。

天井とは住まいにおける唯一の装飾的部位であろう。
“キラ(綺羅)”を表すために天井形式も日本においては、見本としての格天井、及び折り上格天井、舟底折り上げ片流れ天井など様々ある。
材質や仕様も吹き抜け系や最近ではクロス貼り等多様になっている。
日本における天井は和室が見本になっている。
もう一度天井の有り方を考えてみる事で新しい天井の装飾の可能性が広がるだろう。

 

《結露及び雨漏りについての結論》

かつて結露はある種の冬の風物詩であったかも知れない。
特にストーブにヤカンを掛け、シュンシュンと湯気を発生させ窓ガラスに壮大に結露を生じさせていた時代は今や昔。
住まいは夏を旨とする時代は終わり冬の季節に対応すべく家造りへと変遷し断熱気密対応の住まい造りとなり、自然換気に対しても、「秋を知らして隙間風」というわけにはいかない。断熱気密化により、湿気による結露対策に重大な配慮をしなければならなくなっている。
結露及び湿気が今の住まいに於いては建物寿命に大きく影響する。
湿気及び水分は種々の発生源となる。菌・カビの発生による建物寿命を縮める一因となりシックハウス症候群などによる人体への影響がある。
また、壁体内に湿気水分が滞留するとシロアリの発生による甚大な食害により建物寿命が損なわれ重大な影響がある。
また、雨漏りに於いても湿気と水分により結露と同様の事象となる。特に雨漏り等の補修修復については原則あってはならないことだろう。
また定期的に補修などのリフォームについては建主が注意深く関心を持って対処しなければならないことである。

 

以上、キャリア52年建築士の管見vol.5を綴らせていただきました。

住まいの天井・結露・雨漏りに関する記事をお時間を割いてここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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