スイコウBLOG
2022年03月07日

外壁や屋根の塗装(塗り替え)改修工事について【美しさの再生(Re Born)】

外壁と屋根は、人間に置き換えると見た目である。住まいも人も加齢による劣化を防ぐことは出来ません。

住まいも人も適宜手入れすることにより、美しさを維持保全が可能であり、美しくあるべく経年変化(老朽、老齢化)の移ろいの中で寿命を迎えたいものである。

かつて日本の住まいの美しさの根源は、屋根形状の美しさにあったと言われていた。

近頃の住まいにおいては、ある種の百花繚乱的屋根形状であるようにえる。屋根の形状により住まいの美しさへの基準があると考えられる。

人に例えれば、屋根デザインは顔であり外壁の構成は体であるとも言える。美的感性は時代により変遷するであろうが、美しさへの基本感性は変わるものではない。

また、屋根及び外部外壁の形状や仕上げにより美しさへの耐久性寿命は大いに変わるであろう。

日本に於ける屋根及び外壁・外観のデザインは、先人たちの千年以上に渡る歴史と伝統及び風土適正に於ける外観デザインが今もなお秀でていると思われる。

 

【屋根塗装~化粧直し】

1.瓦葺き屋根の場合

 

塗装は不可。ただし耐久性は大。並べ替え化粧直しと、適宜な洗浄のみ。また漆喰補修のみ。

セメント瓦、和瓦、洋瓦は洗浄の上屋根塗装にて塗装可能。

棟及び隅棟(屋根の勾配部分出会うことになる、四隅にできる山形の部分のこと)の隙間取合いの漆喰的補修塞ぎとなる。

瓦系屋根の場合、原則留付け固定のため留付け金具等の腐食がある事もあり、その際には並べ替えの必要が出て過大な費用が掛かるため、以外とフレキシビリティー(変化に対する柔軟性や融通性)にかける。

2.彩色石綿板葺の場合(カラーベスト)

約20年以上前の彩色石綿板葺の場合、アスベストを含むため種々施工について注意が必要である。

洗浄後葺き重ね部分に適正なスペースを設け塗装することになる。現状のまま塗装すると葺き重ね部分が下塗りシーラー等の影響により、雨水が入りこんだ場合水抜けがしにくくなる。

そのため、雨漏りなどの元凶になるおそれがある。そうならないために、必ずスペーサー処理の上塗装すること、通常2回塗装仕上げとなる。

また金属部分(カラー鉄板系)唐草(軒先に流れてくる雨水を雨樋に誘導したり、軒先の木材を雨漏りから守ったりする役割を持つ部分)や、ケラバ(軒先の無い方向から正面に見た時に「への字」に見える屋根の辺りのことで、こちらも屋根を雨水から守る役割がある)及び棟押え(棟包み板とも言い、屋根葺き材を押えると共に雨の侵入を防ぐ役割を持つ)等の塗装がある。

 

【彩色石綿板葺の塗料の種類】

⑴アクリルシリコン系樹脂塗料
⑵特殊シリコン樹脂塗料
⑶特殊ポリウレタン樹脂塗料
⑷フッ素系樹脂塗料他

以上⑴~⑷までの塗料があり材料費及び耐久性に違いがあります。

⑴<⑵<⑶<⑷の順に耐久性と価格がUPします。また、屋根用遮熱(高日射反射率)塗料がある。

個人的見解においては全ての面に耐久性の極端な差は無いとの考えである。

屋根(彩色石綿板葺)の塗替えにおいては、雨水の排出の流れに特に留意すべきである。

 

【金属板葺の塗装】

基本的に彩色石綿板葺材料と同様と考えてよい。特にカラー鉄板葺(亜鉛渡鉄板)の場合、錆の問題がある。

ケレン等錆落としの上塗装することになる。腐食の状況により葺き替えの場合もあり、費用的に彩色石綿板葺から工事費がUPする場合がある。

葺き法として瓦棒葺や平葺などがある。通常屋根勾配としては緩勾配での施工が多いようである。

 

【金属屋根の材質について】

  1. カラー鉄板(亜鉛鉄板やガルバリウム鋼板など)厚さは0.27~0.4程度のものが一般的。
    葺法は瓦棒葺および平葺などがある。
  2. ガルバニウム鋼板、溶融亜鉛アルミ合金材は非常に錆びにくくメンテナンス上も性も優れているが、傷や錆等による劣化が生じる場合もある。特に傷による錆については注意が必要である。
    しかし、20年程度はメンテナンスフリーである。


特に注意すべきは電食である。電食とは電気による腐食のことで、異種金属を接合することでイオン化傾向(水の中で単金属が金属結合から金属イオンとして出やすい順の事)の大きいものほど電食による錆が発生する。(余談ではあるが、金は全ての金属の中でイオン化傾向が最も小さく、まず錆の発生はありません。)ガルバニウム鋼板葺の場合、通常は錆などの発生は殆ど無いと言える。

私共で施工設計した34、5年前の住宅屋根のガルバニウム葺は、現状錆などの発生は見られていません。

蛇足ながら彩色石綿葺の屋根の場合、おそらく30年以上経過した屋根は経年劣化による割れやコケ等による塗装での化粧直しが難しい事もあり、葺き替え等の施工をしなければならない可能性が高い。そのため工事費が嵩むことも考えられる。

その際考えられるのはカバー工法による施工である。おすすめのカバー工法としては断熱材入りのガルバ製品が最も施工として良いでしょう。

他に金属葺として銅板葺があるが、最も費用が高く神社仏閣等の屋根葺として使用されることが多く、緑青の発生によりより良い屋根風景が感じられます。

また、シングル葺の場合は重ね貼り等の同質材施工やステンレス、チタンなどもある。

屋根のメンテナンスは通常目につきにくいため、等閑になりがちであるが、時には屋根状況を確認するべきである。(屋根塗装メンテナンスについての独り言である)

 

【外壁塗装とメンテナンス】

外壁も屋根も毎日毎日太陽光の紫外線を浴び、さらされて過酷な日々を送っている。

また、方位方角により紫外線と赤外線(熱線)の影響には差異がある。特に赤外線による劣化状況には差が大きくある。

北面<東面<西面<南面 の順に外壁劣化が甚だしく、逆に南面壁の劣化に比べると北面については劣化状況に問題がないことの場合が多々見受けられる。

北面壁の場合は湿潤のケースが多いため、コケやカビなどの発生がある場合もある。

通常外壁面の塗替え塗装が求められるのはチョーキングと呼ばれる白亜化し表層樹脂が劣化して塗料の色成分の顔料がチョークのような粉状になって手で触ると白っぽく付く状態になった時である。

サイディングやモルタルの外壁に塗装を行って5~10年以上経つと起こりやすくなってくる。通常、人体に影響するような毒性はありません。

【外壁仕上げの種類】

1)窯業系サイディング⇒コストパフォーマンスにも優れる外壁材
2)金属系サイディング⇒メンテナンス周期が長く、耐久性に優れた外壁材
3)モルタル⇒主要な外壁材の中では最も低価格でデザイン性の自由度に優れた外壁材
4)タイル⇒耐久性は断トツに長く、メンテナンスフリーに近い外壁材
その他にも樹脂系サイディング、木質系サイディング、ALCなどもある。

1)窯業系サイディングは、セメント質と木質系成分を混合して造られ、塗装による塗替えとなる。塗料としては屋根塗料系と同様ですが、リシン系吹付仕上げ、溶剤系塗料、シリコン系塗料、複合系シリコン樹脂塗料などがある。洗浄、シーリング施工の上塗装となる。

2)金属系サイディングは、錆を除くほかメンテナンスフリーと考えても良さそうではあるが、汚れや傷による錆及びシーリング劣化には留意すべきである。傷による電食にも注意。

3)モルタル外壁の塗装とメンテナンスは、クラック(ひび割れ)や窓廻りなどの雨対策の上、仕上げ方法の選定、シリン系吹付、弾性塗料(スタッコ)等による仕上げ、樹脂系塗料による仕上げなどがある。
塗装工事または左官工事及びシーリング施工の場合もある。

モルタル仕上げの住まいは、築年数が古く雨戸などのサッシ枠等が木製である場合木部用塗装が必要であり、木部の腐食などに留意しなければならない。また、瓦などの水切り鉄板の塗装などもあり塗装費用が過大になるケースが多い。

4)タイル貼り系はエフロレッセンス=白樺(コンクリート中の可溶成分を含んだ溶液が表面に移動して水分が蒸発する事で濃縮し、空気中の炭酸ガスと結合することで沈着した白く浮き上がる物である。)の除去が必要になる場合がある。

放置すればクラック(ひび割れ)の発生要因となり、建物内部躯体の劣化を早めてしまう。

そのため寿命も短くなる。除去法としては、散水洗浄の上、酸(酢)などを希釈して噴霧、ブラシなどで洗い流し、早期乾燥させる事が必要です。

除去が出来にくい場合は塩酸などの酸で洗う事が必要となる。また、タイル面のエキスパンション(膨張・拡大)目地のシーリングについても打ち替えが必要となる場合と窓廻りのシーリングについても同様の処置が必要となる。

 

 

屋根外壁の塗装とは、人間において加齢に伴う健康寿命の永続を願う事と同様に住まいの健康寿命と化粧により住まいを若々しく再生させ、より美しくまた、街並みの活性化を図る事である。

その街に住まう人々にとっても豊かな街づくりを悟らせなければならないと考える。いずれは住まいも人も朽ちてはいくが、それまでは住まいも人も若々しさと美を保っていくことは大事である。

屋根と外壁の塗装再生こそ、全てに勝る健康な住まいの基本ではないか、住まいも人も見た目が一番とは箴言である。

 

 

 

以上、キャリア52年建築士の管見 Vol.6を綴らせていただきました。

「外壁と屋根の改修・塗装について【美しさの再生(ReBorn)】」に関する記事を、お時間を割いてここまでお読みくださり、ありがとうございました。ご参考になれば幸いです。

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