スイコウBLOG
2022年08月01日

屋根リフォーム等で使われるガルバリウム鋼板の解説と用途

ガルバリウムとは

正式名称ガルバリウム鋼板
1972年アメリカ、ベスレヘムスチール社により開発されました。

 現在のメッキ鋼板の種類について分類します。

所謂ブリキ=鉄板にスズメッキをされたものであり、電蝕によるイオン化傾向により耐蝕性に問題があり本体の鉄部より錆びていく欠点があり表面のスズが傷つきやすく内部鉄の錆の発生が激しい為、現在ブリキのおもちゃ等の外部利用は殆どされていない様です。
但し表面は光沢があり美しいものです。又、スズの価格が高いため建材としては普及していないと考えられます。

 現在、建材として多用されている金属板として「トタン」があります。鋼板の耐蝕性向上のため亜鉛メッキを施したもので正式名称としては「溶融亜鉛メッキ鋼板」=通称トタン=です。(トタンの見分け方としては、叩くと“トタン、トタン”と音がするかもしれません。←冗談です)

 ブリキに比べて電蝕効果により表面亜鉛部分より錆びるため内部鋼板の錆びの進行を遅らせる事ができ、外部建材としてコストパフォーマンス的に多用普及してきたものです。

 但し高い耐蝕性を発揮できるのは中性の場合であり、酸性またはアルカリ性にpH(ペーハー)が傾いてきますと亜鉛の腐食が早まります。(中性値はpH7、数字の小は酸性、大はアルカリ性)因みに雨は酸性側である場合が多く(酸性雨)、海水はアルカリ性です。
場所によって耐用年数が変わります。住宅地に於いては海岸地域の方が、耐用年数が低い傾向にあります。内港部に比べて60~70%程度と考えられます。因みに海水のpHは8程度以上と言われています。
いずれにしてもトタンの耐用年数は美観上10~12年程度とされているようです。

 そこでより耐用年数の高いガルバリウム鋼板が開発され、より耐蝕性の高い建材として現在板金施工に多用されております。ベスレヘムスチール社によると、耐用年数は都市部の場合約25年、または塩害のある海岸部に於いても15年程の耐用年数を想定しているようです。所謂トタン=溶融亜鉛メッキ鋼板に比べて耐用年数で2倍程度の差があり建築建材として現在では殆どがガルバリウム鋼板となっています。ガルバの表面被膜の金属素材としてアルミ55%、亜鉛43%、他シリコン等により製造されております。アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板です。通常板厚は0.35㎜の鋼板が建築建材として使用されています。建材利用として各種板金用水切り関係、屋根材関係、外壁材関係等があります。屋根利用として平葺き、立ハゼ葺き及び断熱材入り屋根葺き、規格屋根材等々、各製品メーカーにより種類が多々あります。外壁材としてもメーカーにより種類があります。基本的には各メーカー製品とも大同小異と思われます。

ガルバリウムはメンテナンスフリーではありません

 ガルバリウムはメンテナンスフリーではありません。基本的に屋根及び外壁のメンテナンスは水洗いをすることにより耐用年数が長期化致します。経験上30年以上屋根材として施工現場に於いては現状問題なく屋根は健康状態にあります。また、経験上所謂もらい錆びによる腐蝕があるようです。電蝕による錆の発生のようですが、内部鋼板までの腐蝕は見受けられません。今のところ本瓦葺きに次ぐ耐用年数があると考えられます。

 また、瓦葺にも種類があります。セメント系、硅カル系等あり、外観上見分けがつきにくくありますが、伝統的日本瓦として陶器瓦=釉薬瓦(中身は土色です)、そして伝統のいぶし瓦は、中身は芯まで焼きが入っており通常神社仏閣等の屋根及び伝統的造りの住まいの屋根葺き材として使用されております。なかなか見分けがつきにくいようです。また、銅板葺きの屋根もありますが、値段が大変高く数寄屋造り等の家造りに使用されております。

 また、葺(ふき)方法(かた)として一文字葺きとして利用される場合が多く、最近ではあまり見られないように思われます。基本的に伝統工法的住宅にごく稀にみる事がありますが、良さとして古寂びた風情ある住まいとしてあるようです。忘れられし屋根材かもしれません。

 個人的には屋根材としてはガルバリウム鋼板を屋根材及び板金加工施工としては耐久性とコストパフォーマンスの観点より所謂彩色石綿等より優れていると思われます。昨今の彩色石綿板葺きの耐久性はノンアスベスト使用になっており以前のアスベスト配合品に比較して耐久性能が低下されていると考えられます。今や健康上の理由により法令で禁止されています。因みに屋根葺材として他にアスファルトシングル葺き、屋上防水等に使用される伝統的アスファルト防水、FRP防水デッキ屋根等々各種あります。一般的に住宅用に使用される屋根葺材として彩色石綿板葺、アスファルトシングル葺、金属系亜鉛メッキ鋼板とガルバリウム鋼板があり、瓦系材質としてセメント系瓦、釉薬瓦、いぶし瓦及び金属による成形された瓦状葺材があります。

それぞれの特性

 またそれぞれ特性があり、最も重い製品として瓦系材料、次に彩色石綿板系、最も軽い屋根として金属系屋根であるガルバリウム葺き屋根となります。屋根重量により地震耐力に対しての基準値が定められており、重い屋根材=瓦系が構造耐力に対して厳しくなっております。所謂重い屋根材と軽い屋根材の二種の分類です。

 いずれにしてもそれぞれ特徴特性があります。また美観上の好みもあり、施工価格に於いても差がある為、何がより良い選択であるかは一概には言えません。屋根リフォームをガルバリウムで行う場合、既存屋根が瓦系の場合は瓦葺を全面撤去する必要があります。その為、撤去費及び処分費が必要となりまた、下地の状態により下地補修などの費用発生もあります。費用的に過大な負担となる為、適しているとは思えません。伝統的瓦葺の場合は、葺並べ替えによる施工とするべきでしょう。但し古いセメント系瓦の場合はアスベストが含まれている場合が多いので処分等ある場合は注意を要します。

 ガルバリウム鋼板による屋根リフォームに適している既存屋根葺き材となると、アスファルトシングル及び彩色石綿板葺の二種類と考えられます。

 所謂カバー工法と呼ばれる既存屋根の上にカバー施工をします。カバー工法による施工の場合、注意すべきポイントとして、既存屋根の防水性とカバー施工に於ける密着性を確認確保しなければなりません。勿論下地材の状況等の確認も必要です。通常ルーフィングと呼ばれる下葺防水紙を施工の上、屋根材としてのガルバリウム鋼板を葺きますが、より接着性及び粘着性の高い材料にて下葺防水をします。“ガムロン”という商品名です。下葺方法として彩色石綿板あるいはシングル葺きの上に直接圧着施工します。それから軒先部分よりガルバリウム屋根材の施工をすることになります。通常は屋根材としてガルテクト屋根と呼ばれております。(ガルテクト=商品名)又当然のことながら断熱材が嵌入されているため断熱屋根材として断熱性能の向上も図れます。

 その他として屋根施工の為仮設としての足場が必要となりますので、外壁廻りの塗替え施工と合わせて施工することも多いようです。又建材などの値上がりが激しく、全ての面での価格がUPしており、工事費の高騰が続いておりますので、ある程度工事費について事前に確認の必要があります。

 多分にガルテクトによるカバー施工した場合15年~20年程度は基本的にはメンテナンスフリーと考えてもいいのではないかと考えられます。時には水洗い等をすれば十分に耐用年数は伸びるのではないかと思います。

 他にガルバリウム鋼板の施工部位として外壁施工をする事も多々あり、同様に耐久性の向上が図れます。当然の事ながら断熱材一体製品として製造されており、既存外壁の上にカバー貼としても施工可能ではありますが、施工上難易度が増す場合もあり、特に窓廻りの施工に十分な配慮が必要です。追記として、金属系のためガルテクト葺の場合、雨音に対して多少不利でしょうか?(※屋根材の呼称として断熱材入りガルテクト葺としております。)

 

以上、キャリア52年建築士の管見Vol.9を綴らせていただきました。

「屋根リフォーム ガルバリウム」に関する記事をお時間を割いてここまでお読みくださり、ありがとうございました。ご参考になれば幸いです。

もう一つ「屋根の修理」について

 台風などの大きな災害が過ぎた後に屋根修理の詐欺被害が増えることがあります。

 最近ではそういった災害が無くとも、「近くで工事をしていたらお宅の屋根が剝がれているのが見えた」等と親切を装って訪ねてくる事があるようです。

 突然そのようなことを言われても普段家主はなかなか屋根の上には登らないため、心配になってしまうかと思います。実際に屋根に上らせてしまうと、悪徳業者の場合ドライバー等でこっそり屋根を捲って写真を撮るなどして不安をあおる事もあるようです。

 まずはそのような業者に簡単に屋根に登らせないことが大事です。

 ただ、断れたにしてもやっぱりなんとなく不安になる方が多いでしょう。

 そういったご相談を受けることも多々あります。まずは適正な工事なのか、他の業者に相談や、見積もり依頼をしてみるなど、一呼吸おいてみてください。高額請求はもちろん困るのですが、逆に安いという言葉にも裏がある場合もあるのです。杜撰な施工で被害に遭うこともあります。

 ある程度施工方法やご自宅の適正価格を事前に知っておくことをお勧めいたします。

 

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